やっぱり心の旅だよ
会社にあったので、チラッと読んでみた。
これ、面白い。
「やっぱり心の旅だよ」福満しげゆき(青菻工藝舎)ISBN978-4-88739-234-4
冷静に考えると、極ありきたりな不条理エロマンガです。「エロマンガは理屈ではない。勢いだ」を地でいく、全ての序章はエロに繋がる系のどうってことないエロマンガなんですが、激しく笑える。
エロマンガとしては実用性が低いものに分類されてしまうかもしれません。「ウォーA組」(マガジンマガジン)とか、「跳んデモ!!女のHな話」(太陽書房)みたいな立派なエロ本が初出のようですが、作者も書いているように「仕事をもらえても、いつも4〜5回で終わってしまうエロマンガ…。ふりかえって考えてみると「たとえエロマンガでも、ちょいと個性を出したい」という「若気の至り」的な要素で僕は失敗していたのだ!」(121ページより)。は、前出の実用性の高い立派なエロ本だったからで、載った場所が違えば、評価も変わったのではないかと思います。と、言っても、非エロに分類される青年誌系にはエロ度が高杉。ほかに載りそうな場所はちょっと見つからないわけですが(w。
しかし、それは、単行本化によって、見事なまとまりを見せています。
たとえば、業田良家の自虐の詩が、週刊宝石連載時にはそれほどの話題にもならなかったのが、幸江の亭主シリーズを抜き出した単行本で大人気になったように(最初の単行本では幸江の亭主シリーズ以外も後ろに乗ってます)。
特に、ウォーA組が初出の一連の作品のメチャクチャさ加減は秀逸。「ああ!! 今まで…/掃除ひとすじ/マジメだった/ヒサスエさんが…」(60ページ)のフキダシには禿げしくワロタ。腹痛いです。
ラストの表題作「やっぱり心の旅だよ」は感動ものです。主人公の墜ちて行く度合いは、花村萬月の「じんじんじん」を思い起こさせたり、ボーダーの武道館ライブ終了後の蜂須賀のようでもあります。特に148ページからの展開は(短いので内容を書くと禿げしくネタバレになる)ちょっと感涙です。
よく考えてみると、やっぱり、ありきたりなヘタ絵の不条理エロマンガなんですよね……。
でも、無性に面白い(w。
以上、読書感想文でした。